若手スタッフが成長するために必要な要素とは?
考える力を養う
「人間は考える葦である」。フランスの哲学者パスカルの有名な言葉です。パスカルは著書の中で、 「人間は自然の中では葦のように弱い存在である。しかし、人間は頭を使って考えることが出来る。 考えることこそ人間に与えられた偉大な力である」と述べています。
急速な情報社会の発展により、私たちの生活は非常に便利になりました。 そして、コロナ禍が起こり、変化のスピードは更に加速しました。 例えば売場では、ほんの数年前まで館の店長会は決められた時間に決められた場所で、 各テナントの店長が集まって伝達事項を聞いていました。しかし今は、動画配信が主流となり、 時間のある時に好きな場所で動画を見ることが出来るようになりました。
必要な情報を得る為のツールは日進月歩しています。
ただ、私は思います。情報を簡単に、つまり回答を簡単に取得出来る世の中だからこそ、 【自ら考える力を養う必要がある】と。
若いスタッフを指導する時に、私が最も心掛けていることは、 「考えて仕事をしてもらう」ということです。何故なら店舗は、お客様とスタッフ、 「考える葦」と向き合う職場だからです。
ルールに従い、指示を待ち、与えられた業務をこなすだけではなく、人の想いを感じ、 どうすれば応えられるかを自ら考えて行動することで、成果に繋げられる仕事だからです。
「ちょっとしたことでいい」
考えて仕事をする、というと、なんだか固くて難しく聞こえます。 ですが、実はとても小さなことなのです。私が若いスタッフを褒めたことは、 例えばこんな事例があります。
猫の形をした壁掛け時計があります。電池を入れると尻尾が動くかわいらしい商品です。 ある新人スタッフがこの商品を入荷検品していました。何やらまじまじと付属の箱を見ています。
当店は広い店舗です。しかし、限られた人数で運営しています。 |
「大切なのは成功体験」
これらの事例は、些細で、当たり前のことかもしれません。
ですが彼ら若いスタッフは、こうした小さくてもリアルな事例を積み重ね、 「これが考えて仕事をするということか」という実感を幾度も持つことで成長します。
考えて動いたことで得られる成功体験。それこそが考える力を養う材料なのではないでしょうか。
その為に店長は、指示だけでなく示唆をする必要があります。
考える余剰を与えるのです。そして、若いスタッフが「考えて仕事をしたその瞬間」を、見逃してはいけません。
すぐに褒め、そして好事例としてチーム全員に「素晴らしいことがあったんだ」と共有すると良いと思います。
良い時のフィードバックは、そうでない時のフィードバックよりも重要です。ポジティブなフィードバックは波及し、人を自走させるのです。
考えて仕事をするということは即ち、人を想うことです。
時代が変わろうとも、人を想う気持ちを育てることは、店長の使命です。 何故なら私たちは、人の想いと向き合う売場で仕事をしているのですから。