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22卒が切り拓くアフターコロナ時代

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
今週は、『人を育てる』シリーズの第10弾。
今回は例年より早期前倒しになっている22卒採用で感じる、学生の「質」の二極化と、 低下する対人業種での大卒求人倍率、有効求人倍率の中に潜む今後の採用課題についてお伝えしたいと思います。

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人を育てる法則 【vol.010】


22卒採用は、将来の幹部候補採用の年?
~今年は優秀な人材獲得のチャンス!~

皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
就活途中で緊急事態宣言が出て、就活が中断されてしまった21卒採用からはや1年。
就活前からコロナ禍対策が当たり前の22卒を見ていると、
「状況を見据えて、自ら情報を取り、スケジュールを立て、行動できる学生」と 「3月解禁を目前にして、やっと活動スタートした学生」との間に、今まで以上に大きな差があり、 学生の「質」が二極化しているように感じています。
前者の「出来る」学生は、状況を見ながら自ら考えて行動できますが、 後者の「フォロワー」の学生は、受け身タイプが多いように感じます。 「フォロワー」の学生は、大学の授業が約1年間オンラインになっていることで、 「出来る」学生の就活状況を直接肌で感じることが出来ず、就活をする意欲を持てなかったのかもしれません。

インターンシップで兆しがあった
私が一番最初に変化を感じたのは、昨年12月に行ったインターンシップでした。
例年だと、この時期にインターンに参加する学生は就業意欲が高く、 既に自己分析が終わっている優秀な学生が参加することが多かったのですが、 今年は3月以降の「会社説明会」以降に出会う、やりたいこと・自己分析が、 まだフワフワしている段階の学生が増えたように感じました。
マイナビ調査によると、2月までのインターンエントリー数は、前年比156%と増加しています。 インターンとは名ばかりの、会社説明会を行う企業が増えたことが背景にあり、 学生もインターン=早めに開催する会社説明会だと思っているのでしょう。

差の大きかった1週間
3月解禁後の会社説明会で出会った学生にも、1週目と2週目でその「質」の差を感じました。

3月1週目に実施した会社説明会では、昨年夏から2月までに10社以上のインターンに参加し、 企業研究をしながら自分がやりたいことをほぼ絞り込めている状態で、 解禁と同時に会社説明会に参加する学生が多かったように思います。
コロナ禍で厳しい就活になるという「状況判断」から、早めに企業研究や自己分析を始めるなど、 「自ら情報を取りに行き行動できる」学生が、3月1日の解禁日と同時に説明会へ応募してきたのだと考えられます。
説明会への参加姿勢も意欲が伝わってくる学生が多く、開催する側の我々の方も思わず力が入った説明会になりました。

ところが3月2週目になると、様子が一変します。
2月に入ってから会社探しをやっと開始し、自己分析もまだ途中と感じる学生の参加割合が 半分以上を占めるようになってきたのです。
この学生の質の変化の大きさは、私には衝撃的で、 22卒は良い学生を獲得するには今まで以上に早期決戦になると感じました。

<ハローワーク大卒求人倍率は中小企業で大きく変化>

ハローワークの大卒新卒求人倍率は、20卒の1.83倍から、21卒は1.53倍と低下しており、 コロナ禍で新卒採用がしやすい環境になったと思われます。 しかし、従業員数300人以下の中小企業に限ると、20卒では8.62倍、21卒では3.40倍と、 一人の学生を約9社が奪い合う20卒から、約3.5社が奪い合う21卒に変化したにすぎず、 まだまだ売り手市場は続いていると言えるでしょう。

<22卒求人掲載企業数は94%に減少>

新卒求人掲載総企業数は前年対比94%と減少。
特にコロナ禍の影響を大きく受けた航空業界、ホテル業界はもちろん、 アパレル系企業63%、スポーツ系企業71%、流通小売専門店87%、レストラン系企業71%と、 対人業態で大きく求人が減少しています。(マイナビ2022より)


<学生一人当たりのエントリー数は111%に増加>

厳しい就活の不安から、学生一人の当たりのエントリー数は前年対比111%に増え、 掲載企業数が減少したことで、アパレル系企業では193%、スポーツ系企業は120%、 流通小売専門店は180%、レストラン系企業は166%と大幅に増えました。
航空業界やホテル業界に就職を考えていた学生が、同じ対人業種である小売業界や飲食業界へ 業種変更したと考えられます。実際に私が面接をした中にも、 観光系業界から小売業に転換したという学生が複数いました。

<小売業では新卒以外の求人倍率が大きく低下>

では、新卒以外の求人傾向はどうでしょうか?
ハローワークの新卒を除いた有効求人倍率は、2020年1月が1.40倍だったのに対し、 2021年1月には1.05倍に低下しています。特にここ数年深刻な人手不足に悩まされてきた 小売業が入る「販売類似業種」に絞ると、2020年1月の3.30倍から2021年1月に1.98倍と大きく低下しました。
度重なる緊急事態宣言による商業施設の営業時間短縮で、少ない人数でも営業出来るようになり、 積極的な採用は必要ない環境だったこともあるでしょう。
今までより転職しにくくなった為なのか、弊社も退職希望者が半分以下になったという話も 現場のリーダー層から聞いています。


このようなデータを見ていると、新卒も含めた今年の採用はパワーダウンしても良いように感じるかもしれませんが、 一方で、アフターコロナを見越した人材獲得に動き出している企業も出てきています。

ホームセンターのカインズは、2020年4~5月にはコロナ禍で内定取り消しになった学生を対象にした新卒採用追加を行い、 「IT小売業」の実現に向け、オンライン販売強化人材採用枠を別途設けています。
タクシー業界の大手であるMKタクシーは、コロナ禍で増えた飲食宅配事業や、 企業の社用車減によるタクシー利用見込みを踏まえ、2021年度は例年の2.5倍の採用を行うと発表しています。

コロナ禍で社会に大きな変化が起き、お客様の内面的な思考も変わってきています。
状況変化に柔軟に対応し、生き抜くために自ら行動出来る人材が今まで以上に重要になってきます。

コロナ禍で大きく変わった市場傾向に対応して、早期より就活を行った学生は、 就職後もマーケットの潮目を見抜き、今何をすべきか、自分はどう行動すべきか感じ、 行動できる潜在的な能力があると私は思います。
そして、22卒の「出来る」学生の採用は、アフターコロナを見据えたとき、 未来の核となる人材獲得につながると言えるのではないでしょうか。



最後までお読みいただきありがとうございました。

来週は、「ショップレポート」をお届けします。
どうぞお楽しみに!

ワンスアラウンド株式会社 シニアディレクター
キャリアコンサルタント(国家資格)

岡田 聖子


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