渋谷駅周辺再開発の「最終ピース」
ワンスアラウンド株式会社 |
【Market Report vol.42】
渋谷駅周辺再開発の「最終ピース」
渋谷サクラステージが開業
以前、執筆を担当していた弊社顧問の馬場が、2022年11月から2023年1月までの3回シリーズで <100年に一度の大改造「渋谷再開発」>として
を報告させて頂いておりました。
(覚えていらっしゃいますでしょうか? ※関連記事はコチラ)
今回、私は渋谷駅周辺再開発で最後の再開発プロジェクトとなり、渋谷駅南西部に7月25日に開業した<Shibuya Sakura Stage>をさんぽして参りました。
<Shibuya Sakura Stage> 渋谷の新たな玄関口の誕生 ~めぐり歩いて楽しいまちへ
権利者の方々の想いを形にしながら、「桜丘のまちづくり」の理念を大事にし、着実に事業を推進して今回の開業に結びつけています。 |
本地区はJR渋谷駅南側に立地しており、ポテンシャルの高い地区でありながら、国道246号によるまちの分断や地形の高低差によるバリアの存在や、狭い道路等による安全性の確保などの課題を抱えていましたが、先行する渋谷駅中心地区の他施設とともに、交通基盤の拡充、様々な機能導入による拠点性向上と防災機能の強化を行いながら、国際競争力を更に強化する大規模複合施設となっています。
渋谷駅周辺の大型商業施設開発について
- 2012年開業 「渋谷ヒカリエ」 (東急文化会館・跡)
- 2018年開業 「渋谷ストリーム」(東急渋谷駅の旧地上駅舎・跡)
- 2019年開業 「渋谷スクランブルスクエア」 (東急東横百貨店東棟・跡)
- 2019年開業 「渋谷フクラス」 (東急プラザ・跡)
- 2024年開業 「渋谷サクラステージ」 (渋谷駅南側、桜丘エリア)
と、渋谷駅から直接回遊できる大型商業施設として、5施設が開業しました。
JR渋谷駅は、山手線・埼京線の乗り換えの利便性アップで、ホーム改良に加え南口改札の新設をしましたが、旧東急東横百貨店の中央棟・西棟に該当する区画が未着手となっています。
このゾーンは、2028年開業が予定されていますが、実現すると、まさに100年に一度の大改造「渋谷再開発」が一区切りとなるのではないでしょうか。
<Shibuya Sakura Stage>さんぽスタート!
具体的には、低層階には充実した規模の商業エリアが広がり、最先端のトレンドやカルチャーを創出・情報発信しています。
中層階は、オフィスとして様々な規模の企業がフレキシブルに入居することが可能です。
そして高層階には、渋谷駅隣接という抜群のロケーションで、都心の寛ぎを実現する環境のマンションが整備されることで、「働・遊・住」のすべてをシームレスにつなぎ、「多様な世代が住み、訪れる、活力のあるまち」を目指しています。
地形の高低差が大きい渋谷ですが、縦軸導線「アーバンコア」も整備されています。この壮大な計画が完成するのは2027年とのことです。楽しみですね!
・変化し続ける消費者の価値観とライフスタイル25年の年月をかけて開発している中で、消費者のニーズは日々変化してきています。これまでの商業施設と比べ、<Shibuya Sakura Stage>はファッション雑貨店が少ないのが特徴です。
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(1)テクノロジーの活用
『デジタルツールやデータ分析を活用して、テナントのニーズや市場動向を把握』
3F KATE(1997年カネボウ化粧品からセルフメイクブランドとして誕生、2006年花王がカネボウ化粧品を買収) 診断された4色のアイカラーと専用ケースが、まるで自動販売機のように出てくる機械となっています。 ゲーム感覚で体験できて、どんなアイカラーをお勧めされるのかワクワクしました。 私自身は、化粧品の対面接客が好きで、色々試せることや、お肌のお悩みに対しての試供品をもらえることが嬉しいですし、美容部員さんが私の為にひと手間かけてくれる時間が楽しいので、このテクノロジーにリアル接客の良さがプラスされるとさらに最強ですよね!
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(2)顧客体験の向上
『ショッピングだけでなく、体験型のサービスやイベントを提供することで顧客の滞在時間を伸ばし、リピーターを増やす』
4F サクヨン<Shibuya Sakura Stage>の出店店舗の3割が飲食店ですが、 ① 学ぶ主にCCC(株)が運営するTSUTAYA BOOK STORE・SHARE LOUNGE・re-searchが出店しています。 SHARE LOUNGEはサードプレイスとして利用できそうな、自分らしく、リラックスして過ごせる場所です。 ➁ 遊ぶ404 Not Found: インディークリエイターのためのクリエイション拠点です。 ゲーム、アート、音楽、フードなど様々なカルチャー領域で 活動するインディークリエイターの聖地を目指し、展示イベ ントやワークショップ、音楽ライブや期間限定レストランなど、多様な企画を開催する中で、クリエイターの創作活動の 支援やクリエイター同士の共創の機会を創出していきます。 ③ 食べるSHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL はフードコートのようになっていて、個性的な8店舗が出店しています。 モバイルオーダーで、キャッシュレス決済となっています。最近は4人に1人はお財布を持ち歩かないそうなので、時代に合わせたシステムです。現金派には少しなれないシステムかもしれません。
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最後に
今回も私が気になった店舗を紹介しました。新しい商業施設が増えてくる中で、環境への配慮や地域の特性、住民のニーズに合わせたテナント誘致も大切です。
コロナパンデミックで外出が制限されるようになり、デリバリー需要が加速しました。好きな食べ物を好きな時に配達してもらえる便利なシステムがある中で、お客様に商業施設へ足を運んでいただくためには、どのような仕掛けが必要なのか?
今後の商業施設に必要なものを考えたときに私は、商業施設のサードプレイス化が重要だと思いました。
家庭や職場で課せられる役割や責務から解放されて自分らしく、リラックスして過ごすことが出来る場所。そしてその場所で人と人とのつながりが生まれ、輪ができることを想像すると楽しくなり、またその施設に足を運びたくなります。
ショッピングだけでなく、わざわざその施設に行く目的、価値を多く提供できることが競合施設との差別化になると考えます。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
これからも現場からのリアルなレポートをお届けします。
どうぞお楽しみに!