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感動の一瞬:顧客への思いやりと絆

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は現場で起きた『ハッピーエビソード』をお届けします。
お客様からの“ありがとう”はいつも私たちを元気にしてくれます。
今回も現場の皆様に元気の素をお届けします。


ハッピー・エピソード【vol.005】


いよいよ緊急事態宣言が解除になりました。
約2ヶ月ぶりに全国の商業施設が営業を再開しました。しかし、このわずか2か月の間に失ったものは、とてつもなく大きいものでした。
これからも目に見えない恐怖との闘いは続きますが、店舗で仲間と共に働けることの喜びを噛みしめて、前向きに進んでいこうと思います!

今回の自粛期間中、弊社もテレワークが中心になり、社内の仲間全員と顔を合わせる機会は大きく減少しました。
テレワークにはもちろん、プラスの効果がありましたが、対面のコミュニケーションが減ったことで、マイナスの現象も起きました。
その中でも改めて思ったこと、それは、非常時には「責任者は誰か?」を求めすぎるのは危険だということです。
戦場では、上司の指示を待っているだけでは、自分の命も危うくなります。
責任者は全員です。「私は責任者ではない」「私は役職者ではない」などは関係なく、1人ひとりが当事者意識をもって意見を発信し、自分の思いを伝える、そして行動することが大事なことだと改めて感じました。

そこで今回は役割と責任を超えて、ただひたすらにお客様に寄り添ったスタッフの事例をご紹介いたします。

コロナによる休業要請が入る前の出来事です。


インバウンドのお客様が大勢、ご来店されていたアウトレット店舗でギリシャから来られたご夫婦を接客しました。


東京オリンピックをとても楽しみにしており、その下見の為に観光で旅行に来られていたそうです。
しかし、コロナ感染拡大のため、すぐに国に帰ることが出来なくなり、楽しみにしていたオリンピックも延期になってしまい、とても気落ちしていることが分かりました。
当時はまだ飲食も平常営業をしていたのですが、外食する気にもなれず、毎晩、コンビニで買った食事をホテルで摂っているとのことでした。


慣れない旅先で帰国も出来ず、落ち込んでいるご夫婦に何とかハッピーな気持ちになって頂きたく、宿泊先のホテル近辺のお薦めのお店や自分の出身地の話など、拙い英語で日本の話をたくさんしてみました。すると、ご夫婦の表情がだんだん笑顔になり、買い物を楽しんでお帰りになりました。
すると翌日にまたご来店され、「昨夜、お薦めのお店で食事をしてみたらとても美味しかった!」と、わざわざお礼を伝えに来てくださいました。そして、「日本国内を色々回ったけれど、貴方の接客が日本一だった!」とお褒めの言葉を頂き、「帰国できるその日まで、貴方の故郷で過ごすことに決めました」と仰って頂きました。
楽しみにしていた旅行が残念なことになってしまい、何とか元気づけようとしただけだったのに、わざわざお礼を伝えに来てくださり、更には自分の故郷に行ってくると仰ってくださったお客様の言葉に涙が出そうになりました。今でも時々無事に帰国できただろうかと思い出してしまいます。

当たり前のように海外のお客様を接客していた日々が遠い昔のことのように思います。オリンピックを楽しみにしつつ、このご夫婦のように来日されていた方々は本当に大変な思いをされたことでしょう。
海外のお客様に限らず、我々スタッフは、お客様の背景まで知る由もなく日々接客しています。
しかし、このお客様のように、何かしらの事情を抱えてご来店されている方も少なくありません。
売場は、単に買い物をする場ではなく、「ストレス発散」「気晴らし」など、気分転換の場でもあるからです。
お客様と会話することで、お客様の事情が理解できたり、お客様の感情に気付けることがあります。
「買ってくれた、くれなかった」ではなく、全てのお客様が「ちょっと嬉しい」「ちょっと楽しい」気持ちでお帰りいただくことが私達の役割なのだと思います。
一日でも早く、インバウンドのお客様が安心して来日できる日が来ることを願ってやみません。




佐藤 梨枝子
佐藤 梨枝子
ワンスアラウンド株式会社 取締役

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