2021年を前向きなスタートにするヒント
皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第7弾をお届けします。
コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。
【Market Report vol.7】
コロナ禍の年末年始商戦を振り返る
皆様、本年もよろしくお願いいたします。ワンスアラウンド顧問の馬場です。 昨年はマーケットレポート「市場の風」を読んでいただき、ありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年、年末年始の商戦がどう変わるか?をお伝えしていましたが、市場環境は、コロナの感染拡大に伴い、 1月8日に1都3県に緊急事態宣言が発出され、その後7府県にも宣言が拡大されています。
こうした厳しい環境下で、年末年始がどのような結果であったのかをご報告させていただきます。
<密を回避する対策、山場のない年末年始商戦>
昨年10月以降、立ち直りの兆しが見えてきましたが、コロナ感染が首都圏から全国レベルに再拡大し、 大変厳しい年末年始商戦となりました。
■12月の売上前年比は、10~20%減となり、都心と郊外・地方で格差が出ました。
■元日休業は、食品スーパー業界がこれを機に従業員の働き方を見据えて舵を切りました。
■3が日営業は、「緊急事態宣言」発出を前にして大きくダウンしました。
●12月の営業状況百貨店・SCの各施設では、密を避けて福袋の12月予約&年内販売が多くなり、 併せてセールの前倒しがありましたが、感染拡大に伴う客数減により、 売上は前年比10~20%の減少となりました。 郊外ターミナルビルの12月商戦の動向を聞くと、 |
●元日営業についてここ数年、元日は休業する施設が増えてきていましたが、 今年から休業に踏み切った施設は少なく、掌握できたのは数施設でした。 <食品スーパー各社の元日営業状況>
●今年から元日休業したSCの状況正月2日間の営業状況について、昨年3日間と対比してどうだったのか?を、 郊外駅前立地の単館商業施設(大手SM核/年商70億円)と出店者3店舗の状況をお聞き出来ました。
12月中旬に、このSCから約2kmの所に中規模のイオンモールが開業していることから、 その影響が10~15%程度あると仮定すると、正月3日間営業と2日間営業では、 売上前年比は65~70%程度と思われます。 また、同様に今年から元日休業となった葛飾区の高架下駅ビルでは、昨年との売上対比は、 物販=75.6%、食品(SM)=76.4%との事でした。 ●3が日の営業動向前述の郊外ターミナルビルに、正月3が日の動向を聞くと
ということでした。 |
<年末年始商戦の販促イベント・キャンペーン>
各商業施設は、知恵を絞って多くのイベント・キャンペーンに取り組みました。
こちらもお客様との接触や密を避けながら、デジタルを活用しての実施となりました。 僅かな事例ですが、次の取組みの参考にして頂けばと思います。
・ステラモール大宮 ・高島屋 ・小田急 成城コルティ |
<年末年始商戦から見えてきたこと>
ここまで年末年始商戦を振り返ってきましたが、コロナ感染が拡大する中でスタートした2021年も、 DEV・テナントともに客数・売上の低迷に苦慮する状況がまだしばらくは続くと思います。 そんな中で、お客様やテナント従業員の価値観やライフスタイルの変化と、オムニチャネルの拡大に対応しながら、 これからの商業施設が今後考えるべき課題がより鮮明に見えてきました。
■年末年始の新たな営業スタイルの再構築を!今年の福袋は、「ネット販売」「事前予約」「年内販売」「初売り販売」と多様な対応となりました。 年始休業は、食品スーパー業界が大きく舵を切りましたが、
など ■地域と従業員に優しい商業施設とは?
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最近は、リアル店舗での買い物も短時間で済ませる傾向になっており、 販売員との会話を楽しむ時間も減っており。店舗内が何となく無機質で温かみが感じられない空間に なってきているような気がしています。
そんな中、昨年末にお聞きした心温まる話を最後にご紹介します。
心に響いたソーシャルワーカーのエール交換緊急事態宣言後も人の移動がなかなか止まらずに、全国レベルで感染者が増加し、 医療従事者への負担が増していますが、年末に東急電鉄の社長にご挨拶に伺った時、 大井町線「旗の台」駅の心温まるお話を聞きました。 |
新年早々に緊急事態宣言が発出され、2021年スタートの出鼻をくじかれた状況となり、 「人の動きを止めるのか?」「営業を優先させるのか?」の二律背反の判断が求められています。
そんな中で、先日NHKの番組で、デザイナーのコシノジュンコ氏がコロナ禍で移動が制約されているが、 「【運動】と言う字は、【運が動く】」と書きます。動くことによって、前向きになり、アイデアが閃く」 と仰っていました。
DEV・専門店各社も、日常の事業運営の中で、「大小様々なリ・セット」を 求められることもあると思いますが、その都度、勇気をもって自らの判断で決断し、立ち止まらずに共に前に進みましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
ワンスアラウンド株式会社
顧問
馬場 英喜