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変化に適応する売上急増企業の成功術

皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、文字通り我々が運営する 《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第8弾をお届けします。
コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。


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【Market Report vol.8】



 会社存続をかけコロナの先を見据えた
 各社の経営改革が進行中!

こんにちは!ワンスアラウンド顧問の馬場です。
年明けに発出された2月7日までの緊急事態宣言が延期され、市場環境は飲食関係のみならず全業種にわたり、 更に厳しい状況下におかれていますが、多くの企業は、2020年度決算を前に企業及びブランドの再編・統廃合に取り組み、 新たな2021年度を迎えざるを得ない状況となっています。
そこで今回は、大手アパレル、SCの運営ディベロッパー、専門店の取組み事案と、 そこから見えてきた事を報告させていただきます。

<企業&ブランドの再編・統廃合の取り組み事例>

●大手アパレル

大手アパレルは、各社とも主販路とする百貨店の事業環境の悪化により、 不採算事業の撤退に伴う店舗閉鎖と希望退職者の募集、ブランド撤退や子会社の解散等の見直しを進めています。


■TSIホールディングスは、3月から新体制をスタート。
2023年までに段階的に組織再編を実施し、最終年にはグループ会社を一つの事業会社として、 ブランドの個性を守りつつ、事業の効率化とコスト削減を実現しながら、 意思決定の迅速化と稼ぐ力の強化を目指す方向性が示されました。
具体的には、
・グループ各社の重複機能を減らして組織構造をスリム化
・デジタル戦略の強化=EC部門を一本化して事業スピードを上げる。
・法人統合による仕組みや機能・ルールの一本化
を柱としていますが、供給過多とそれによる値引き販売の体質からの脱却とオムニチャネルの 強力な推進が大きな鍵になると思います。


■ワールドは、昨年8月から構造改革に着手。
2月には7ブランド及び450店舗の撤退と100人の希望退職など更なる追加策を発表しています。


■オンワード樫山は、2019年から店舗数を半減。
消化仕入形態で百貨店ビジネスを構築してきた企業ですが、 2019年上期に3000店舗あった店舗数を、下期から2020年度にかけて約1400店舗を撤退して半減させ、 オムニチャネルへの移行を目指しています。


■三陽商会は、事業構造見直しによる経営改革を進行中。
2021年2月期までに百貨店の不採算売場の撤退を発表。併せて調達原価率の低減や消化率の改善をしながら、 ブランド編成の見直し、直営店、ECの強化を図る経営改革を進行させています。



●ショッピングセンター(SC)


SCは同一グループ内で複数施設展開の場合、別会社対応で管理運営がされていましたが、 コロナ禍での急激な社会変化に対応すべく、それぞれの役割・強みを見極めて、 運営会社の合併等に踏み込む事例が出ています。


■三菱地所グループでは、オフィスや丸ビル、 横浜ランドマークタワーなどの大規模複合施設を運営管理する 「三菱地所プロパティマネジメント」と、SUNAMOや全国のマークイズなど、単館の大型商業施設を運営管理する 「三菱地所リテールマネジメント」の両社が、4月に合併。
グループ内の商業ノウハウと人財を結集させ、「消費者の生活様式の変化」と 「デジタルマーケティング」への対応力アップを目指します。
これに伴い、三菱地所グループの商業施設は、
プロパー商業施設は、存続会社となる「三菱地所プロパティマネジメント」、 アウトレットモールは、「三菱地所・サイモン」が運営することになります。

■JR東日本グループでは、グループ経営ビジョン「変革2027」が目指す 「ヒトを起点とした新たな価値・サービスの創造」の実践を目指して、 コロナ禍で人の移動が止まり「鉄道収入」が落ち込む厳しい状況の中、 「生活サービス事業」分野の強化に向けて、3件の新たな取り組みを発表しています。


(1)グループ内事業の再編
NewDaysやecute等のエキナカ事業を運営する「JR東日本リテールネット」、 駅構内の飲食店を運営する「JR東日本フーズ」、acureブランドの飲料製造卸、自販機の運営を行う 「JR東日本ウォータービジネス」、グランスタ、キッチンストリート等、東京駅構内の商業施設を運営する 「鉄道会館」4社が合併し、4月から「JR東日本クロスステーション」となります。
各社の経営資源を結集して、業態の垣根を超えた新規業態開発、 データの一元化によってエキナカ全体でのお客様の利用状況を掌握し、 繋がりを強化して新しいサービスや価値の創造を目指します。


(2)沿線くらしづくり構想の推進
中央線エリアと京葉線エリアにおいて、“沿線の個性を引き出す”「沿線くらしづくり構想」を推進します。
中央線エリアでは、nonowaを運営する「JR中央ラインモール」と、 CELEOを運営する「JR東京西駅ビル開発」が4月に合併し、「JR中央線コミュニティデザイン」となり、 京葉線エリアでは、PERIEを運営する「千葉ステーションビル」がこれを推進します。
具体的には、グループの共通基盤である「Suica」「JREポイント」を活用しながら、 駅をフロントにして地域のお客様との間を連携させて、
  ・オンライン問診を活用したスマート健康ステーション
  ・在来線特急を活用して山梨エリア・房総エリア間の果物・魚介類輸送
  ・地域コミュニティを繋ぐシェアリングや多様なビジネスの場の創出
などの新たなサービスで繋いでいきます。


(3)他社との包括的連携を推進
「西武ホールディングス」と提携し、「新たなライフスタイルの創造と地方創生」に向けて、 コロナ禍での人々の価値観・生活様式の変化と、そこから生まれる新たなニーズに対応するべく、 両社が持つ有形無形の資産を組み合わせた包括的な連携を推進します。
具体的には、
  ・新しい働き方・暮らし方の提案
  ・まちづくりに向けた長期的な連携
  ・沿線活性化に向けた連携
により、首都圏と軽井沢・伊豆・苗場などに大きな資産を持つ西武鉄道ホールディングスとの間で 新たな価値創造を生み出す取組みとなります。

<企業&ブランドの再編・統廃合から見えてきたこと>

ここまで、限られた事例ですが、企業やブランドの再編・統廃合と、 それによる取組み事例を見てきましたが、これらは、従来から抱えている課題が変化したのではなく、 コロナ禍において変化のスピードが速まり、その対応が求められているのだと思います。

■決断のスピードアップを!

コロナ禍では、時間軸の対応が求められますが、早めの決断のためには、
  ・組織構造のスリム化
  ・デジタル活用による業務の合理化と効率化
  ・リーダーシップのある人材の登用
が求められます。初動と打つ手の遅れが致命的になります。
目標に向けて新たな構築を目指しましょう。

■リアル(オフライン)とオンラインの新しい体験の場を!

コロナ禍で在宅時間の増加でEC体験者が増えていますが、反面リアルの良さも再認識されており、 間違いなくオムニチャネル化が加速します。
したがって、判断基準にこの視点を入れる事が求められます。
今年オンラインに変更されたSC協会のビジネスフェアですが、セミナーはオンラインの方が落ち着いて聴けると好評です。

■持っている資産・資源を活用した連携強化を!

自社の資産・資源の棚卸は勿論必要ですが、JR東日本と西武鉄道ホールディングスとの包括的連携は、一つのヒントだと思います。
各SCにおいても、他社SCとの連携とともに行政や他企業との連携があります。
  ・人財の結集
  ・ビッグデータの一元化とそれを活用した新たな企画提案
  ・他社との連携&タイアップ
を実施しながら、グループ会社の縦割り組織や業界内での壁(垣根)を取っ払って、新たな「宝」を発見しましょう!

以上、ここまでは、コロナ禍後、会社存続を掛けての事業&ブランドの再編や統廃合の事例を見てきましたが、 最後にこんな状況下でも売上を大きく伸ばしている会社をご紹介します。

群馬県に本拠を置く「ベイシアグループ」


昨年秋に「売上が1兆円に到達」した「ベイシアグループ」は、グループ内にホームセンターの「カインズ」、 作業服の「ワークマン」、それに食品スーパーの「ベイシア」を加えた3社を中核に置く企業です。


国内で売上1兆円を超える上場小売企業は、
イオン、セブン&アイHD、ファーストリテイリング、ヤマダHD、 パン・パシフィック・インターナショナルHD(旧ドン・キホーテHD)、三越伊勢丹HD等ですが、 ベイシアグループで上場しているのは「ワークマン」のみです。
1958年、群馬県伊勢崎市に服地屋「いせや」を設立以来、60年強で1兆円企業となった原動力は、
●プライベイトブランド(PB)中心の商品作り
●衣・食・住に関わった分野での秀でた専門店業態作り
●M&Aに一切頼らずに自前での着実な成長路線

に、こだわって追求してきたところだと思います。


ダイエー、イトーヨーカドー、ジャスコのようにスケール(規模)を追求して 覇権を取ろうという経営戦略ではなく、1974年に施行された大規模小売店舗法の元、 大きな競争に巻き込まれず、「エブリディ・ロープライス」という考えのもと、 PB商品を開発して日々邁進されてきました。
80年代には衣・食・住の中で特定の分野に秀でた専門店チェーンを分社化し、 2000年(当時売上4000億弱)からのデフレの時代には、勝ち組として拡大を図り、 2020年に売上1兆円を達成しました。
最近では、ワークマンが、2018年に「ワークマンプラス」、 2020年秋に「ワークマン女子」を立ち上げ、新たなマーケットに挑戦しています。


地に足をつけて、お客様に正面から向き合い、「衣食住」を提案してきた「ベイシアグループ」は、 現在も都心から約100km離れた距離の北関東の群馬県に本拠を置いています。
先日、NHKの大河ドラマ「天を衝く」がスタートしましたが、明治維新後「日本の資本主義の父」と呼ばれた 主人公の渋沢栄一氏は、現在の埼玉県深谷市ご出身です。
ベイシアグループの創業者土屋オーナーも深谷のご出身とお聞きしており、何か深いご縁を感じます。

弊社も元気な成長企業に学び、そこから勇気を貰いながら、立ち止まらずに前に進んでいきたいと思います。





最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。

ワンスアラウンド株式会社
顧問
馬場 英喜


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