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多様性のある時代のおもてなし



車椅子のお客様への接客

多様性の時代。弊社の研修・コンサルタントの部署には、 最近、ユニバーサルマナーの研修依頼が増えてきております。
そんな中、ショップから車椅子のお客様とのエピソードが複数、投稿されましたので、ご紹介致します。


【ご夫婦でご来店されたお客様とのエピソード】

奥様が車椅子に乗ってご夫婦でシャツやジレなどを ご覧になっているお客様にお声を掛けました。

すると「最近流行りのジレが欲しいんだけど、丈が長いのしか無くて・・・」との事でした。
お客様の身長をお伺いしたら、私と同じ身長でしたので自分が何点か試着をしてお客様に丈感をご確認頂きました。


お客様は丈の短いジレをお探しでしたので、該当する商品を数点、ご紹介したところ、お客様から
「私が欲しかったのがこれぐらいの丈感なのよ。 ずっと探していたけど、中々試着も難しくて丈も分からなかったので買えなかったの。 同じ身長のお姉さんがモデルになってくれて助かりました。本当に有難う」 というお言葉を頂きました。


最後のお見送りの際に、ご主人から
「お姉さん、今日は本当に有難う。
2週間ぐらい前から嫁が欲しいジレを探していたけど 自分がレディースの商品が分からなかったので、 嫁の役に立つことが出来なくて、とても悔しかったんです。
でも今日はお姉さんのお陰で、欲しかったジレが見つかり、 本当に良かった」
と仰ってくださいました。

奥様だけでなく、大切な奥様のお役に立つことが出来ず 悔しい思いをされていたご主人もハッピーな気持ちになれた事が本当に嬉しかったです!

(因みにこちらのお客様を担当したスタッフはミャンマー出身のスタッフですが、 入社5年目を迎える今、身も心も日本のおもてなしを体現してくれています。)
車椅子の方の接客では、お客様への姿勢や目線の高さなど、 相手の立場になった気遣いが重要ですが、気軽に試着し難いという問題もあります。
この投稿を読んだ後輩スタッフからは、 「お客様自身で着ることだけが試着ではないのだと気付かされました。」 という感想も挙がっており、お客様のご要望をどこまで察することが出来るかが大切なのだと思います。


【母娘でご来店されたお客様とのエピソード】

先日、よく自店をご利用頂いている女性のお客様が、 車椅子のお母様と一緒にご来店してくださいました。


以前、娘様がお一人でご来店された際に対応させて頂いて、 有難い事に私を覚えてくださっていて、今回も声をかけてくださいました。 “母に似合いそうな、涼しげなトップス何かありますか?”と。


お母様は、車椅子の生活で お洋服を買うのに娘を付き合わせるのが申し訳ないと、 服を買う機会が少ないそうです。


そんな中、自店を選んでご来店頂けたことが本当に嬉しかったので、 色々とお母様に似合いそうなトップスをご紹介しました。
その中でお母様がいつも持ち歩いているカーディガンに合いそうな 花柄の薄手のブラウスを気に入ってくださり、ご購入してくださいました。


後日、娘様がまたお一人でご来店くださり、 「先日はありがとう!母は普段明るい服はあまり着ないのですが、 あなたが選んでくれたブラウスとっても気に入ってずっと着ているんです! 一緒に選んでくれて本当にありがとう!また母と来ます!」と仰って頂きました。


普段お二人で洋服のお買い物をする機会が少ない中、 自店を選んでご来店してくださったこと、 お勧めしたアイテムをお母様が満足してくださり、 娘様が店頭までご報告しに来てくださった事が本当に嬉しかったです!

私は、このエピソードを読んで、自分の母のことを思い出しました。
私を含め、娘が3人いますが、全員、地元を離れて生活していたため、 母娘で洋服を買いにいく機会が少なかったのです。
母が認知症を患い始めた頃、帰省した際に一緒に洋服を買いに行ったときのこと。
「親戚の叔母は娘さんが近くにいて、いつも2人で服を買いに行っているのがずっと羨ましかった」と言われました。

母娘で洋服を買いに行く。
何気ない日常の一コマですが、それが母にとって最高に幸せな時間なんだなと分かり、胸が熱くなりました。

今回のお客様のお母様も「買い物に行きたい」「でも身体が不自由だから娘に迷惑をかける」 という葛藤を抱えていることを、お嬢様がよく分かっているからこそ、 信用できるスタッフを見極めて、一緒にご来店されたのだと思います。

そして、お母様もお嬢様も満足のいくひと時を過ごせたことで、 後日、わざわざお礼に立ち寄られたのでしょう。

ユニバーサルマナーで大切なこと

ご高齢のお客様、障がいをお持ちのお客様、外国人など、様々なお客様がご来店されます。
今回は車いすのお客様の事例を2つご紹介しましたが、
ユニバーサルマナーで大切なのは、「型」だけではなく、 自分とは違う「お相手」のことを考え、自分が今出来ることを行動できる「心」が 一番大切なのではないかと思います。

人と人が違うのは当たり前。違う相手を認め、尊重できるおもてなしができるように、 今後も切磋琢磨していきたいと思います。






佐藤 梨枝子
佐藤 梨枝子
ワンスアラウンド株式会社 取締役

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