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お客様が集まり続ける施設、愛されるその理由


この「マーケットレポート」では、これまで《SCの未来を考える》をテーマに、時代の流れとともに変化する商業施設と街づくりの歴史を見てまいりましたが、今回からは筆者も交代し、 《現場目線》《消費者目線》 に立ったレポートにしていきたいと思います。具体的には、さまざまな現場のリサーチを中心に、筆者自身の現場経験を活かした「売り方」「見せ方」のヒントにもつながるようなレポートにしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。


Market Report   vol.40】

4年たっても錆びない魅力
~多摩オンリーワンの施設を~

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ワンスアラウンド株式会社

       リテイル事業部 廣末 弥雪


初めまして、廣末弥雪と申します。大阪で5年間のバイヤー兼売り場責任者の経験を経て、20年以上売場に立ち、現在は、ワンスアラウンドで店舗のVMD指導のための売場巡回を行っています。
このレポートでは、話題のSCをはじめ、新旧問わず、さまざまな現場を巡りながら、
これまでの経験を通して感じたこと、気づいたこと、新たに学んだことをお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


今回は、2020年4月開業の「GREEN SPRINGS」をリサーチしてきました。

近隣にリニューアルした高島屋SCなど多くの施設が隣接する中、開業から4年たった今でも、なぜお客様が集まるのか?なぜ来ているお客様が幸せそうなのか?なぜまた行きたくなるのか?その魅力をお客様目線でお伝えしたいと思います。

◆施設紹介◆

施設のコンセプトは、
「空と大地と人がつながる”ウェルビーイングタウン” 自然と人、そして人と人がつながり、心とからだに健康的なライフスタイルを実現する」。

2020年に開業した複合施設「GREEN SPRINGS」は、日中のオフィス空間、食やショッピング等の提供のみならず、その豊かな環境を地域の方々に24時間開放しています。

また、国営昭和記念公園の大自然を前庭とし、最上階にインフィニティプールを有する「SORANO HOTEL」、芸術・音楽・スポーツも楽しめる唯一無二の多機能ホール「TACHIKAWA STAGE GARDEN」も併設しています。

(株式会社立飛ホールディングスのご紹介)

立飛グループは、1924年(大正13年)に株式会社石川島飛行機製作所として設立された、のちの立川飛行機株式会社が前身の会社です。

新宿から30分に満たない立川の中心に約98万㎡の広大な敷地を所有しており、地域社会の発展と賑わいの創出を目指して事業を展開しています。

所有地のほぼ中央に位置する多摩モノレール立飛駅周辺には「アリーナ立川立飛」「ドーム立川立飛」「タチヒビーチ」など、地域の人々が集える施設を開発し、プロスポーツやエンターテインメントの他、多様なイベントを数多く招致している会社です。

▼▽▼ リサーチスタート! ▼▽▼

錆びない魅力その① 「安心感」
子供連れのお客様、ペット連れのお客様も安心して通る事が出来る、車の通らない広い道。新しく整備されたその道を歩くだけで気持ちがいいです。

2階に上がると解放感と緑豊かな癒し空間が広がります。

そして、空と土地と人がつながる “カスケード”(※階段)があり、空と大地がつながっています。


※カスケードとは、小滝・何かが連なっている状態・階段状に連続しているものという意味

階段の向かい側には豊かな緑とオシャレなお店が並び、多様な人々がこの空間で安らいでいました。

錆びない魅力その② 「楽しませる」

季節ごとのイベントを開催、誰でも自由に過ごせる“リビングルーム”として来場者に開放するなどユニークな取り組みを行っています。
施設内にはレトロなテレフォンボックスがあり、受話器を上げると誰かとおしゃべりができるかも?と楽しい演出もあります。


施設のロゴは、コンセプトである「空と大地と人がつながる、ウェルビーイングタウン」
表現しています。


街区の特徴であるX型のランドスケープデザインをモチーフに、空と大地をブルーとグリーンで表現しています。


錆びない魅力その③ 「リーシング力」
緑が広がる庭園のような敷地の中に「植物と暮らす」をテーマに、植物と相性が良いインテリア雑貨を取り揃える園芸店があります。
グリーン&インテリアショップ“garage”の姉妹ブランド“Rust”です。
地域の自然や文化といった誰もが親しみやすい価値を「GREEN SPRINGS」で見つける事が出来ます。


他にも1985年山中湖開業の2号店PAPER MOON(ケーキカフェ)が出店しています。 (PAPER MOONは山中湖とGREEN SPRINGSの2店舗のみ。)
PAPER MOONは<大人にとって心地よい時間と空間>をコンセプトにしているので、10歳以下の子供の入店をお断りしています。コンセプトがとてもはっきりしていますよね。
ケーキもおいしいですが、店員さんに聞くとパイがおすすめとの事でした。
店内には素敵な雑貨も展開しています。大人にとっての癒しの場所でもありました!
他にも人気のお店がたくさん出店しています。


さいごに

今回が初めての配信になりますが、この施設をリサーチするにあたり、㈱立飛ホールディングスホームページの「GREEN SPRINGS」誕生秘話を読みました。
その中で、心に残った文章が4つありました。

「地域の持続性に貢献する事業」
「街全体の価値を高める開発手法やその評価指標を確立できれば次の事業に
 つながっていく」

「地域の人を元気にする」というぶれない信念を感じます。

 「目の前の人をどう楽しませるかという視点で考えている」

目の前の人を楽しませるという視点は小売業でもとても大切なのに忘れてしまう事があります。「GREEN SPRINGS」の錆びない理由は、常に原点に返り、目の前のお客様を楽しませる工夫を怠らず、お客様の笑顔の先を見て、“楽しませること”を磨き上げているからではないでしょうか?


「21世紀の三大苦は、退屈・孤独・不安であり、ここに来れば孤独ではない。
 同じ価値を共有できる人と一緒にいられるという感覚を共有することが大切」

ここに来れば仲間がいる、何か得られるものがあると思える場所があると安心できます。私も買い物に行くと、何か新しいもの、新しい体験を持ち帰り、家族や友人と共有したいと思います。誰かに共有したいと思える事が持続可能な事業の実現ではないでしょうか?

作り手の想いを知ってからリサーチすると、改めて地元への愛・ぶれない信念を感じました。
この記事を通して、集客の減少・魅力出しに悩んでいる施設の皆様へ何かしらのヒントになれば幸いです。
“どの様な仕事に対しても、志と愛、原点に立ち返ることは大切なんだな”と思えたリサーチでした。




最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
これからも現場からのリアルなレポートをお届けします。
どうぞお楽しみに!

廣末 弥雪
廣末 弥雪
ワンスアラウンド株式会社 リテイル事業部 

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