コロナ禍によるショッピングの変遷
皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
メールマガジン編集事務局です。ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第2弾をお届けします。
第1弾に続いて、コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。
【Market Report vol.1】
皆様、はじめまして。ワンスアラウンド顧問の馬場と申します。
専門店の店舗開発からスタートして、約半世紀。全国の商業施設や街を「自らの足で回り、目で見て」きましたが、 今回のコロナ禍でこの50年で構築されて来たものが、変わらざるを得ない状況となりました。 今までの経験と皆様に繋いで頂いたネットワークを生かした取材を通じて、このマーケット変化をレポートし、 問題を提起しながら、今後の提案をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
第1回目のマーケットレポートは、コロナ渦のなかで人の動きがどう変化し、 それが商業施設を中心とするリアル市場にどう影響を与え、今後どう変わっていくのかを私なりに検証したいと思います。
●人の動きを止めたコロナ
2020年が明けた時に、今の状況を誰が想像したでしょうか?
本来ならば、まもなく東京オリンピックが華々しく開催されるはずでした。緊急事態は解除されましたが、 1都3県を中心に感染者数は再び増加に転じ、自然災害も九州中心に容赦なく襲い掛かり、経済活動の回復は更に長期化の様相です。
人や物の移動によって、経済活動が起こりますが、今回のコロナ禍により、人の移動が変わりました。 職場では、「リモートワーク」の推進により働き方が大きく変わり、また多くの大学も学校閉鎖となり、授業のオンライン化が進みました。
人がお金を落とすところは、鉄道移動の場合、(A)住んでいる街 (B)乗換駅(ターミナル駅)、 (C)職場・学校等がある街だと思いますが、(B)と(C)への移動が大きく減少したのです。
■参考データ①
<JR東日本の鉄道営業収入・前年比> 4月25.9% 5月30.4% 6月56.5% 鉄道営業収入の前年比をみても自粛解除された6月も前年比60%に満たない状況で一気には戻っていません。 |
●人が動かない状況は商業施設にどう影響するのか
人の移動の減少が商業施設にも大きな変化を投げ掛けています。商業施設はコロナ禍で、約2ケ月の自粛を余儀なくされ、 5月中旬から順次営業再開となりましたが、この間の「人が移動しない」という行動の変化が、商業施設の「在り方」を改めて浮き彫りにしました。
再開後の6月の営業状況は、各施設とも大幅に減少していますが、当初見込みよりは上振れで終えたかと思います。大きな傾向としては
■エリアで見ると、郊外型SCは好調だが都心型SCは厳しい
■百貨店も都心部より住居隣接型立地が好調
■業種別では、衣料品はまずまず、飲食・サービスは大苦戦
という結果でした。
■参考データ②
<6月の営業状況> |
●商業施設は「社会のインフラ」としてどうあるべきか
私たちは、商業施設は「社会のインフラ」であり、お客様にとっての「お買い物の場」「コミュニティの場」であると同時に、 従業員の「雇用の場」であることを、改めて再認識しました。また、今回の営業自粛期間を通して次のような変化が起きたと思います。
■買い物の場が、より住まいに近くなった
働き方の見直しにより、都心部ではなく郊外型エリアで済ます
■買い物の仕方が変わった
早い時間に来館し、短時間で買い物を済ます
■商品(飲食)の購入方法が変わった
オンライン活用してのネット購入者が増えた
JR東日本深沢社長も、7月の会見で「コロナの影響は長期化して、以前のように利用客は戻らず、 新しく始まった生活様式が定着していくと思う」と、話されています。
また、ある郊外型の大型商業施設の6月の来館者の時間帯別・前年比をみると、19時以降は大きく減少しており、 多くのお客様は16時までに買い物を済ましていることが分かりました。
次回からは、今回のコロナ禍で顕在化した
■ステイホームで家族と過ごす大切さを知った消費者
■在宅でも効率的な仕事が出来ると知った経営者と従業員
■ネット購入で十分用が足せることを再認識した消費者
にとって、商業施設の①営業時間・店休日、②リアル店舗とネットの融合等はどうあるべきなのかをテーマに 取材を重ねながら問題提起と提案をしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ワンスアラウンド株式会社
顧問
馬場 英喜