店長が広げる新たなキャリア視点
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今週は、先月からスタートした『人を育てる』シリーズの第三弾。 「現場の店長の採用活動への参加」をテーマに、現場から生の 声をお伝えします。
人を育てる法則 【vol.003】
皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
今回のテーマは、「店長の採用活動参加によるキャリア開発」です。
人生100年時代に突入し、企業の平均寿命より個人が働く期間が長くなった今では、 1つの仕事だけをずっと継続したままキャリア人生を終える人は少なくなってきています。
特に、小売業の「店長」は、体力的にもキャリアアップ的にも限りがあります。そうした限界を感じて、 将来のキャリアビジョンが見えずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな店長たちが、新たに自分のキャリアについて考えるきっかけになった 「本社から任された仕事」で彼らにどんな変化があったか、お伝えしたいと思います。
地元高校を訪問した店長は何を学び、感じたのか
弊社では特に郊外立地での採用難で人手不足が続いていたこともあり、3年前から高卒の採用を始めました。
ご存じの方も多いと思いますが、高卒採用は、大卒や専門卒とは全く違ったアプローチ方法が必要です。 人材確保のためには、高校を訪問して、就職指導室の先生方にまず会社を知っていただくために 企業説明をするところから始めなければいけません。(高卒採用の事例については、改めてこのメルマガで配信させていただきたいと思います)
そこで、この高校訪問に、地元エリアの店長を巻き込み、彼らに一種の「営業」を行ってもらったのです。
人手の足りない背景の中、店長たちが高校訪問に時間を割くのは難しいのはわかっていましたが、 エリア特性(その土地ならではの仕事選びの考え方)や、店舗の近隣にある高校へは、 店長の方がアクセスしやすいという理由で各店長に高校訪問のお願いをすることにしました。
実は、私にはその他の目的として、高校訪問経験による店長達への成長期待が3つありました。
1つめ:
高校訪問で採用の手間暇を体感してもらうことで、入社してくる新入社員のケアに力を入れてもらえるのではないか?
(離職率の低下につながる)
2つめ:
会社説明をすることで、店長自身の会社理解が進み、改めて自社のいいところを認識してくれるのではないか?
(会社説明は会社の良い面を話すことが多いので、改めて店長自身が会社の良い所を認識する場になる)
3つめ:
高校訪問という「飛び込み営業的」な経験から何かを学び取ってくれるのでは?
(外にでて、営業目線を体験することで、気づく何かがあるはず!)
店長に高校訪問を依頼をしたときは、「時間が取れない」「やったことがないから・・・」 「やり方がわからない」という声ばかり・・・店長達からの圧も感じながらも、2年が経過して、 今年はコロナ禍もあり、高校訪問は控えましたが、改めて過去2年の経験を振り返り、高校訪問した店長達に感想を聞いてみました。
すると、「今後も店長は高校訪問したほうがいいか?」という問いに、 高校訪問を経験した店長全員から「絶対やったほうがいい」という答が返ってきたのです。
中には、「若い店長ほど高校訪問はやったほうがいいですよ~。この経験は必要だから継続したほうがいいです!」と、 他の店長にも勧めたいと発言する店長もいました。
初めて高校訪問という「営業活動」にチャレンジした店長達のコメント
自分の得意を再認識!
―積極的に高校訪問に協力してくれた40代店長―
商業施設管理の方と話をしたりすることも好きだったので、 営業的な業務は向いているのかな?と薄々感じてはいたが、高校訪問をしてはっきり営業が好きだとわかった。 高校訪問は半分飛び込み営業みたいなものだけど、自分はそれも出来るかもと思う。
自分のキャリアを改めて考えるきっかけに!
―消極的だったが、1校だけは訪問してくれた30代店長―
会社説明をすることで自分の会社に愛着が湧いた。一人で会社を代表して訪問することは初めてで、 学校の先生に説明できるほど自分が会社について知らないことに気づいた。 本社から送られてきた会社説明資料を見ながら、どう説明したらいいか人に聞いて準備した。 高校訪問は、相手のニーズを聞き、会社の良いところを紹介して、先生の反応を見て勧めるなど、普段の接客にもつながると思う。
店長経験後の自分のキャリアが見えず悩んでいたが、改めて会社を知ることで、 自分のキャリアについて考えるきっかけになったし、成長するうえでいい経験になった。
事前準備をして臨む「仕事のやり方」への変化!
―自分の母校にも高校訪問してくれた30代店長―
販売代行という自社のビジネスを、学校の先生にどう理解してもらうか苦労したが、 全く知らない相手にわかりやすく説明することで、その後のアルバイト採用面接の会社説明が上手くなり、 会社のことを理解してくれるバイトの子が増えた。今でも高卒採用の会社説明資料を活用している。 外部の人(高校の先生)と話すために一人で切り込むので、どこからどう話をするか事前に考えてはいったが、 めちゃめちゃ緊張した。今まで何気なく見ていた社内の営業担当の先輩の凄さを改めて認識し、相手との距離の詰め方、 キャッチボールの仕方を見るようになった。今まで上司に「情報を取るように」と言われても動けなかったが、 営業的な場では、事前に情報を取って準備する必要があるのだとわかり、 次回〇〇さんに会うから△△の情報を取っておこうと考えるようになった。
店長に任せることで店長自身の成長機会を促す
地元の高校に会社の認知を広げるという採用活動の裏にあった“店長達の3つの成長期待”の1つである「新たな気付き」では、 「自分の得意に気づく」「自分のキャリアを改めて考える」「営業視点(経営視点)が養われ、仕事のやり方が変わる」 など、店長達に新たなキャリア視点が芽生えたことがわかりました。
店舗と本社では立地上の距離もあり、自店の運営に責任を持って働く店長たちは、なかなか会社全体への視点を持つ機会がありません。
しかし、採用は本社の仕事、人事の仕事と決めつけず、役割を一緒に担ってもらうことで、成長機会を促すことが出来ます。
彼らの「全社視点」「営業視点」「新入社員への愛情」を育成し、将来のキャリアビジョンにも幅が出る。
そんな「高校訪問」というリクルート活動を店長に任せてみたら、きっと少し成長した店長達を見るきっかけになると思います。
そんなふうにリクルート活動の一部を、来年度から思い切って店長達に任せてみてはいかがでしょうか?
ただし、任せる側にも、店長に渡す説明資料の準備や事前説明会、高校側への根回し、 スケジュール管理など、様々なバックアップの準備は必要ですので、段取り等のご相談があれば、どうぞ気兼ねなくお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
来週は、「ショップレポート」をお届けします。
どうぞお楽しみに!
ワンスアラウンド株式会社 シニアディレクター
キャリアコンサルタント(国家資格)
岡田 聖子