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オンラインショッピングから生まれたリアルな接客

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は現場で起きた『ハッピーエビソード』をお届けします。
お客様からの“ありがとう”はいつも私たちを元気にしてくれます。
今回も現場の皆様に元気の素をお届けします。


ハッピー・エピソード【vol.008】


皆様、こんにちは。
9月の4連休では久しぶりに人出が多く、街に活気が戻りましたね。
若干の怖さは否めないものの、少しずつ元の暮らしに戻りつつあることに本当に幸せを感じます。

さて、今回も「現場で起きたハッピーエピソード」をご紹介します。
ベテラン店長の味のあるきめ細かな応対で、味のある商品の不備を最終的にはご満足いく形に繋げた事例をお読み頂ければと思います。

ネットとリアルが融合する時代に
お客様がリアル店舗に期待するものは?

自粛期間が終わり、営業再開して間もない頃、ご年配の女性のお客様から入電がありました。
「今年の初めに買った猫の置き時計が電池を変えても動かなくなってしまった。 連絡したかったけどお店が休業だったので開くのを待っていた」とのことでした。
その時計は1930年代から存在し、創業から殆ど製法が変わっていない為、こういった問い合わせがよくあります。 クラシックな作りで調子が悪くなることもありますが、そこも含めて「味」があるというのがブランドの見解です。


以前にも同じ問い合わせがあった時、お手入れの仕方など自分の知識でアドバイスさせて頂き、 復活したことがあったので、その方法をお伝えしたところ、 実はそのお客様はそのブランドのマニアでデザイン違いで沢山の時計をお持ちの方でした。


「商品特性もお手入れのコツも理解している。でもこの子だけは何をやってもダメでどうにかならないかしら?」というご相談でした。
早速、お客様の購買履歴を調べたところ、その商品は店頭ではなくオンラインでの購入でした。 しかし、自店でもよくお買物されているので自店を頼って下さったのだと思います。


まずは現物をお持ち頂き、一緒に状態を確認しました。お客様が仰るとおり、何をやってもビクともしません。
しかし、ご購入から一か月以上経過したものに関しては、原則返品交換不可というブランドの規定があり、 規定通りに対応するのであれば、商品をお預かりして、修理可能か否か、修理の見積や納期をお伝えし、 再度相談に乗るのが正しい対応だと思います。
しかし、「ブランドのマニア」「同様の事例あり」「自粛期間」「外国メーカーの為、 修理困難の可能性」など、イレギュラーな与件がたくさんあった為、 自店とブランドに寄せて下さるお客様の期待を上回る対応が必要と判断しました。
そこでブランド本部に自分の想いを伝えたところ、快く理解してくださり、商品交換となりました。


念の為、同型を3点取り寄せ、複数のスタッフと確認作業を行い性能の良い順番を決めてお客様をお待ちしました。
お客様がご来店され、ここまでの経過を説明し、時計の確認を一緒にして頂こうと思いました。
しかし、お客様は「そこまでしてくれるなんて思っていませんでした。感動しました。 一緒に確認する必要はありません。貴方を信頼したので貴方が確認して一番良いと思ったもので構いません。 万一、その商品が動かなかったとしても私は十分に納得できます。」と仰ってくださいました。


商品不備からの始まりでしたが、最終的にはご満足に繋げられ、本当に良かったと思いますし、 お客様のひと言で、この商売の醍醐味を改めて感じさせて頂きました。 今後も血の通った服屋でありたい、そして血の通ったスタッフを育てていきたいと思います。


オンラインで購入した商品の不備に対するショップスタッフの想いと満を持した対応がお客様の感動を生み満足して頂いた事例です。
結果だけを期待しているのなら、オンラインの方が余程便利です。
この店長が言う「血の通った応対」は、自分の気持ちに共感してくれて、 自分ひとりの為に誠実に一生懸命に何かをしてくれた過程にあり、その気持ちがお客様の感動を呼ぶのだと思います。

お客様のリアル店舗への期待に応えるために「人間力」が問われる時代になっています。
ECとリアルの融合が進む中、多くのお客様が無意識のうちにリアル店舗に期待しているものは、 こうした「血の通った応対」なのではないでしょうか。



佐藤 梨枝子
佐藤 梨枝子
ワンスアラウンド株式会社 取締役

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