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世代を超えた理解:価値観のずれと共存のヒント



皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
今週は、『人を育てる』シリーズの第14弾。
前回のメルマガ「令和入社世代の特徴」を読んだ方から、 もっと詳しく知りたいという声をいただきました。
そこで今回は「令和入社世代理解」の第一歩として、 彼らが生きてきた時代背景(特にIT発展)が及ぼした若者の価値観の変化をお伝えしたいと思います。


人を育てる法則 【vol.014】



時代背景を知れば行動が理解できる

我々には最近のことのように感じる出来事も、若者にとっては人生の歴史そのもの。 2021年卒の大卒新入社員たちにとっての社会背景(特にIT)を改めて見ると、 価値観の違いは当然とも感じます。彼らが産まれた時は、既に消費税は5%。 コンピューターの2000年問題が騒がれていました。(筆者も社用PC対策をしましたが、 彼らが産まれた頃のことのよう…)
小学校高学年の頃にはiPhoneやYouTubeも既にあり、中学ではLINEも普及。 スマホ普及率は、高校で約50%、大学時代は約90%に。 新型コロナ感染拡大で大学3年生からオンライン授業、就職活動もオンラインでの説明会や面接が普通でした。


<21卒の大卒新入社員が育ったIT時代背景> 


このように21世紀に入りスマホを中心に目まぐるしく発展したIT環境も、 彼らにとっては「物心ついた頃から当然のようにあった環境」だと考えると、 彼らの思考にIT環境が大きく影響していることは想像に難くありません。 令和入社世代が育った時代背景を踏まえながら、 彼らの思考キーワードをいくつかまとめてみました。


IT世代間ギャップと上下関係への違和感

ある新人が「LINEのように既読歴がつかないメールを、チーム内連絡になぜ利用するのか?」と 不満を伝えてきたことがありました。
彼らにとってはSNSを使いこなせない世代そのものが理解できない(想像出来ない)のだと思います。
また、有名人ともSNSで繋がることができる時代に育ち、「権威」や「権限」という感覚が薄い彼らは、 タテ社会の上下関係における上司や先輩の姿勢や言葉を「マウンティング」とネガティブに捉えます。
学校でも叱らない先生が増え、部活の先輩とも厳しい上下関係がなく仲が良いのが当たり前… そんな人間関係を経験してきているので、就職して配属されたら、すぐ上司と「仲良くなれる」はずなのに、 どうも様子が違う…。「今までの自分の人間関係の構築の仕方では上手くいかない」と、 悩みの相談が入ったこともあります。
そこで、彼らが育った時代背景を理解すると同時に、彼らに対しては、 世代による「IT背景」の違いや会社組織の上下関係がどんなものかを説明してあげる必要があります。
「えー、そこから?」という声が聞こえてきそうですが(笑)。


「わかりやすい」、「最短」、「楽に」を求める

iphoneなど、説明書がなくても直感的に使えるもの、わかりやすい商品が選ばれる傾向にあります。
配属直後の新入社員と話をしたら、「先輩の〇〇さんの教え方はわかりやすくて良い」と言っていて、 「新人が先輩を“わかりやすさ”で見ているのか…」と驚きました。
若者に業務を依頼する時は、「わかりやすい説明力」や、動画などでの「わかりやすいマニュアル」が 今まで以上に求められてきているのです。
また、ネットで調べるのが当たり前の時代に育ち、自分で考える前にネットで答えを探し、 最短で楽して正解を求める傾向があります。
さらに、コスパ重視で、彼ら自身がやる「意味」を納得しないと、時間がかかるものに抵抗を感じます。
例えば、こんなことがありました。私が離席中に知らない相手先からの「折り返し電話依頼」メモがあり、 電話をすると、相手は若い営業担当者。用件はその会社の商品の売り込み…。営業電話なのに、 新規開拓先に折り返し電話させることに驚きましたが、他部署のメンバーも同じ体験があるらしく、 珍しくないことのようです。
おそらく、先輩の営業マンも「かたっぱしから電話をしろ」とだけ指示をして、 営業の心得や活動背景を説明していないのでしょう。
業務指示の裏にある、我々の「当たり前」や「常識」は、言葉に出して説明してあげないと 通じない時代になったのです。
弊社内でも、あるベテランスタッフが「手間がかかる仕事を頼んだ時に、 それをする意味や背景が理解できず、簡略化してしまいミスをする。 手間はかかるがきちんと手順を踏んだ方が、ミス無く効率化につながることを教えないといけない」と 言っていました。


ホンネを言える関係になるまでに時間がかかる

彼らは、LINEグループなどのSNSコミュニケーションから外されないように、空気を読み、 波風立てず、目立ちすぎないようにしてきたため、なかなかホンネを言いません。
先日行った新入社員フォローアップ研修でも、ガス抜き目的で「変だと思うことがあったら、 今日は何でも言っていいよ!」と何度も働きかけましたが、最後まで何も出ませんでした。
しかし、研修が終わった後に「実は…」と話をしてきた新人もいて、皆の前でなく、 個別に話を聞かないといけないと感じました。
ホンネを話してくれることは心を開いてくれた証拠ですが、 研修後に先輩へホンネを伝えた新人もいたようで、 やっと彼らが「チームの一員になる為のスタート地点に立てた」のだと感じました。

世代別に多様化している「普通」を学習する機会が必要
こうして令和入社世代の育った時代背景を改めて見てみると、彼らの行動の理由が理解できる気がしませんか?
我々が若者の行動が理解できないように、彼らも自分たちが生まれる前の時代背景や価値観は、 想像することすら難しいはずです。

人生100年時代、70歳まで働くことが当たり前になり、世代が全く違う幅広い年代が一緒に働く機会が増えていきます。
世代による「普通」が多様化した今、お互いが言葉に出して説明しあい、理解しようとする姿勢が必要です。
お互いの価値観の理解が深まれば、世代の違いによる無用なイライラは軽減されるでしょう。

これからの新入社員研修やミドルマネジメント層への研修では、 世代別の時代背景や、価値観の違いを知るプログラムなど、 相互理解により世代GAPを埋めていくニーズが増えていくのではないでしょうか。
対面のコミュニケーション力に長けた昭和平成入社世代と、
IT(オンライン)能力の高い令和入社世代が、互いの価値観を理解し、 それぞれの強みを認めあえば、新たな視点が芽生え、 色々なビジネスチャンスが生まれていくのではないかと思います。




最後までお読みいただきありがとうございました。


ワンスアラウンド株式会社 シニアディレクター
キャリアコンサルタント(国家資格)

岡田 聖子

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